2012年3月23日金曜日

JCVIM/JSVCP 2012 参加リポート ①

高齢動物健康管理研究会 事務局リポートです。

2012年 2月17日(金)、18日(土)、19日(日)とパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催されました
「第8回日本獣医内科学アカデミー 学術大会 日本獣医臨床病医学会2012年大会」
の2日目、18日(土)参加してきました。





参加者の傾向としては、30代~40代の獣医師の先生は多く見受けられましたが、年配の獣
師の先生が少ないように感じました。

また動物看護師と思われる女性の方を多く見かけました。


ポスター発表の様子です。調査報告が多かったです。



ランチョンセミナーについて

「新しい犬用制吐剤としてのマロピタントの作用機所」(協賛:ファイザー㈱)
麻布大学の浅井史敏先生のお話を拝聴しました。220名収容の会場におよそ180名が参加。

このランチョンセミナーは、既に上市がされた商品の作用機序の説明と紹介であり、一度使用した獣医師のリピート率が90%超える薬剤である為に、他の3つに比べて人気が少なかったようです。


講演内容の大きな流れは
・嘔吐の仕組み(メカニズム)
・薬の分子図
・薬と嘔吐メカニズムとの関連性
・作用機序の説明

非常に分かり易いご講演でした。



他のランチョンは

「僧帽弁閉鎖不全症に対する薬物療法」(DSファーマアニマルヘルス㈱)
「周術期疼痛管理の実践的コンセプト」(共立製薬㈱他)
「あなたの動物病院で幹細胞を取り入れるには」(日本全薬工業)

などでした。



展示について

66社が展示ブースを出展されていました。展示会場を抜けた先にドリンクコーナー(入場券1枚付。ロイヤルカナンジャパン協賛)が有る為、ほとんどの方が足を踏み入れたと思われますが、残念な事に講演と講演との間のインターバルが15分しかなく、ゆっくりとブースを見学する時間がありませんでした。

展示会場の様子


獣医動物行動研究会の教育講演リポートはJCVIM/JSVCP 2012 参加リポート ②にて
ご報告致します。



動物愛護法改正について


井本動物病院 院長 井本史夫

今年は、いわゆる動物愛護法が改正される。

一昨年から、環境省中央環境審議会愛護部会動物愛護管理のあり方検討小委員会のメンバーとして25回におよぶ会議に参加した。
今年の主な改正点の中心は、「動物取扱業の適正化」に関するに問題についてである。

主な論点は深夜販売、移動販売、インターネット販売、犬猫幼齢動物の販売日齢、繁殖動物(犬猫)の繁殖年齢や繁殖回数の制限措置、飼養施設、登録制の検討などなど。 
小委員会のまとめは終わり、3月初め現在、法案の行方は民主党に委ねられている。

この法案は議員立法であるが、与党の議員がまとめたあと、野党との協議に入り、合意した後、本会議で可決するという。面倒なことである。 
さて、主たる改正点であるが、第一に夜間展示規制がある。当初は「夜間販売の禁止」について議論をしていたが、販売の禁止からもう一歩踏み込んで夜間展示の禁止となった。展示ができなければ販売もできないだろうということである。しかし、展示となったことによって猫カフェ関係者から異議が出ている。午後8時までだとすると、サラリーマンやOLが仕事終わりに猫カフェに立ち寄ることができないからである。

当初の目的は「夜間販売の禁止」であったから、こういう業態の禁止まで求めてはいなかった。こういうことを法文上でどのように表現するのか、素人の私にはとてもできない。法律文に慣れ親しんでいる政治家と官僚の仕事である。 

動物取扱業の適正化の中で、販売日齢を具体的に明記するかどうかということも検討課題に入っている。しかし、重要なのは販売日齢ではなく、母親から離す日齢であるはずである。動物愛護団体の多くは8週齢を要求している。根拠はヨーロッパの多くの国が8週齢を採用しているからである。

しかし、6週齢以前に母親から離されている現行から、いきなりハードルを高くしても、8週齢が実行されるか疑問である。むしろ母親から離すのを7週齢以降とし、それまでの母子・兄弟間のコミュニケーションを十分にとる飼育を実行させる方がよほど大事ではないだろうか。